靴職人が作る革小物
"ROLLING DUB TRIO(ローリングダブトリオ)"や”TOKYO SANDAL(東京サンダル)"のデザイナーである徳永勝也氏が提案するブランド-KATSUYA TOKUNAGA-。
全てのアイテムに世界各国から厳選した、高品質な材料を使用。
長年の経験と研究によって培われた知識と技術を用いて、手仕事による独自の美を生み出している。
そして、それらに深いリスペクトを感じさせるデザイン。
卓越した技能と創造力によって生まれる作品は、単なる機能的なアイテムを超えて、もはや芸術。
KATSUYA TOKUNAGAの製品は、世界中のクラフトマンの情熱と美学が込められているのだ。
今回はコレクションの新作であるCARDCASE-DOUBLE(カードケース-ダブル)が登場。
まず、箱から開けた際にふわっと香る高級感のある革の匂いがたまらない。
これを肴にしてお酒を飲みたくなるレベル。
重厚感と存在感が半端ない代物なのだが、手に持ってみるとびっくりするほど軽い。
そして、革が手に吸い付いてくる感じで馴染みが抜群に良い。
使用したレザーは、イタリア・サンクローチェ地方にあるタンナー“Maryam(マリアム)社”のホースバットレザー。
馬の「BUTT / バット」と呼ばれる繊維密度の高い臀部(お尻の部分)を植物タンニン鞣しで素上げしている。
また、馬の臀部にはコードバン層があるため、一枚の革の中でも表情や質感が異なるのも特徴の一つ。
そして、レザー好きならこだわりたい茶芯仕様。
バケッタ製法によりオイルがしっかり入った革は使い込むほどに味わい深い色に変化し、自然な艶が生まれる。
それと同時に茶芯レザー特有の下地の色が現れる“変化する黒”の表情も楽しむことができる。
艶が生み出す上品さと茶芯が徐々に顔を出してくる無骨さの相反する雰囲気は男心を鷲掴みにするはずだ。
このカードケースの最大のポイントは「靴職人が作る革小物」ということ。
ベンズと呼ばれる靴底用の革をケースのコバに応用しているのだ。
すべて手仕事で、長い時間をかけて作られたベンズは耐久性が高くしなやか。
使えば使うほど自分の手にしっとりと馴染み、美しい経年変化も楽しめる。
コバ部分の厚さはなんと3mm。
ここがこんなに分厚いカードケース自体、未だかつて見たことがない。
近年、財布などの革小物は薄くて使いやすいことが強調されがちでセールスポイントにもよく使われるが、実際は薄さゆえに全然物が入らず、使いづらくてがっかりすることがある。
でも、これはあえて厚みを持たせることによって、これ以上は厚くならないことを主張している。
コバがもたらす厚みと計算された仕切りによる収納力も同様の物の中では群を抜いている。
この緻密な計算のもとに作られた厚さであれば、物を入れすぎて不恰好な状態になることもない。
内部のマチ付きのポケットには一般的な名刺などの厚さのカードで約30枚ほど収納可能。
フラップポケットにはカードのほか、小銭等を入れても落ちないようにポケットの深さや形状、フラップの形に至るまでデザインされている。
そのため、キャッシュレス決済がメインで普段はあまり多くの現金を持ち歩かないという方であれば、簡易的なミニウォレットとして使うこともできる。
背面や上蓋裏側にもポケットを装備。
こちらはよく取り出す機会の多い、交通系ICや社員証なんかを入れておくのにちょうど良い。
徳永氏がデザインをする全ての製品に共通するのは「装飾だけのデザイン」には決してしないこと。
靴や小物に至るまで使い手のことを第一に考え、実用的なデザインを落とし込んでいる。
こうした革の本質を熟知したクラフトマンならではのモノづくりの姿勢が我々を魅了し続けているのだ。
知れば知るほど、愛着を持ってずっと使い続けていきたいと思わせてくれる逸品である。