ポップなチェック柄で軽やかトラッドスタイル
2012年秋冬シーズンよりスタートした"FILL THE BILL”(フィルザビル)。
デザイナーの金田氏はかつてアパレルの企画・生産を手がけていたこともあり、素材・縫製・シルエットからスタンダードな洋服作りを追求。
また、コレクションごとに時代背景・テイスト・ジャンルといったコンセプトは掲げておらず、服飾の歴史や文化といったアーカイブをシーズンによってセレクトし、再研究しながら現代的な解釈で時代にあった最良のアイテムを提供している。
日本が持つ世界随一の技術を活かし、素材はもちろんのこと、洋服作りの全工程を国内で行う、服飾業界のサラブレッドだ。
鮮やかな配色のブロックチェック生地を使用したドリズラージャケット。
元々ドリズラージャケットの始まりは1940年代のゴルフウェアと言われている。
最初にこの型のジャケットをアメリカの名門ブランドであるMcGREGOR(マックレガー)が作り、それを「スコティッシュ・ドリズラー」と名付けたことから、その名が呼ばれるようになった。
トラッド色が強く、おじさんが着てるイメージが強いと言われるドリズラーを大きめで色鮮やかなブロックチェックを用いて魅せることで堅さがとれ、老若男女問わず日常に馴染む一着に仕上がっている。
また、赤・青・黄などといった原色を使ったカラーリングをグラデーションカラーとなるように色彩を調整。
その上で計算されたパターン配置を取ることで目を惹きつつも、落ち着いた印象に。
この緻密なパターンワークが成立するのは日本の高い縫製技術があってこそだ。
生地はハリとコシのあるコットンとポリエステルの混紡生地。
混紡生地とすることで綿の持つ風合いの良さと吸湿性、ポリエステルが持つ耐久性と速乾性といった両方の利点が生かされる。
加えて裏地がないため、着心地も軽やかで通気性も良い。
まさに現代の春夏の羽織物として最適な素材である。
広く取られた身頃にアームホール、短めの着丈でゆとりのある今っぽいシルエットは肩肘張らずにサラッと羽織るのにちょうどよく、合わせるトップスやボトムスによってカジュアルなスタイルからクラシックなスタイルまで幅広い着こなしを楽しめる。
同素材を使用したパンツとのセットアップでの着用もとてもおすすめ。
テイストやジャンルにとらわれない、ブランドらしさが巧みに表現された一着だ。