EDWINが紡ぐ、技術の伝承
日本生まれのジーンズメーカーEDWINが2025年春夏シーズンから始動させた新プロジェクト「SKEWed(スキュー)」。
名称はデニム特有のねじれを解消する「スキュー加工」と「EDWIN」を掛け合わせたものだ。
スキュー加工とは、綾織りによる経糸の引っ張りで生じる斜行(ねじれ)を抑えるため、生地の段階であらかじめねじりを加える技術のこと。
これにより、立体的で存在感のあるシルエットが生まれる。
古着屋で見かける1960年代以前のヴィンテージデニムに裾へかけてのねじれが多いのは、この加工が一般的になる前の時代の産物である。
SKEWedでは、日本を代表する老舗ブランドEDWINのバックグラウンドを基盤にしつつ、本体では形にできない自由なアイデアやアプローチを実験。
某三大デニムブランドのディテールを参照しながらも、独自の解釈を通して新しいプロダクトを生み出していく。
1900年代初頭に誕生した「201」ワンポケットを起点に構築された Coin Pocket Mine Pants。
シンチバックやサスペンダーボタンといった古き良きワークディテールを残しつつ、深い股上と力強いシルエットが放つ存在感は、まさに鉱山で働いた当時の労働服のリアリティを呼び覚ます。
右綾方向へ意図的にねじれを与えることで生まれる独特の立体感は、SKEWedが掲げる「スキュー=ねじれ」の思想を体現するもの。
素材には、EDWINのアーカイブとカイハラ(福山)の技術を背景にしたセルビッジデニムを採用。
経糸には茶系の硫化染料を下染めし、その上にインディゴを重ねる“サルファボトム”を施すことで、デッドストックのように酸化で黄変した風合いを再現している。
穿き込むほどに浮かび上がるアタリや陰影は、時を経るごとに深みを増していく。
仕上げには、EDWINが1980年に世界で初めて工業生産化に成功したストーンウォッシュを採用。
当時金属部品のバリ取りに使われていた回転バレル研磨機を改造し、鹿児島・桜島産の軽石を用いることで実現した革新技術だ。
比重の軽い軽石は水中で沈みにくく、生地全体に均一なアタリを刻みながら、インディゴの濁りや再付着を抑える。
結果として清潔感のあるブルーと柔らかなタッチが生まれ、立体的な陰影を伴ったリアルな風合いに仕上がる。
ブラックデニムに施した場合には、深みのある黒がソフトにフェードし、チャコールグレーへと移ろう独特の表情が生まれる。
ストーンウォッシュならではの自然な掠れと奥行きが、ブルーとはまた異なる魅力を引き出している。
今日に至るまでデニム加工の中心であり続けるこの技術は、まさにEDWINが紡ぐ、技術の伝承。
さらに、サイズ26・28はMOONLOIDだけの別注展開。
体型や性別を問わず、SKEWedが持つ独特の立体感と存在感を味わえるように用意された特別サイズ。
伝統と革新が交わる一本を、それぞれのスタイルで思いきり楽しんでほしい。