オリンピックモデルを街履きにアップデート
Paraboot(パラブーツ)が商標登録されたのは1927年。
フランス・ヴォアロン地方の靴職人レミーが滞在先のアメリカで入手した1足のラバーで覆われたブーツを手にします。
そのブーツとともにフランスへ帰国したレミーが、ブラジルのパラ(PARA)港から直輸入されていた天然ラテックスを底材に使用した靴を思いついたのです。
そして生まれたのがパラブーツ。
もちろんただのファッションアイテムではありません。
ワークシューズとして消防士や軍人に支持されてきた機能的フランスシューズ。
なんと、北極探検家のポール・エミール・ヴィクトール氏ら冒険家たちにも愛されるほどです。
パラブーツは、何と言っても丈夫で履きやすい。
ヨーロッパのブランドとしては珍しく幅も広めで日本人が履いても足が痛くなりにくい。
それでいて、デザインは上品。
ドレスシューズまでは必要ない。
ただ、スニーカーよりは少しフォーマルな雰囲気で合わせたい。
できれば、スニーカー並みに歩きやすい方が良い。
そんな時に大活躍するのがこのパラブーツなんです。
そんなパラブーツの中で1998年の長野オリンピックでフランス選手団に公式採用されたマウンテンブーツがAVORIAZ(アヴォリアーズ)。
そして、そのアヴォリアーズを街履きへと昇華させたのがこのCLUSAZ(クリュサ)という訳。
マウンテンブーツの様なカジュアルで無骨なデザインが、もうめちゃくちゃイイ。
もちろん、良いのはデザインだけではない。
アッパーに使用しているリスレザーはオイルをたっぷりと含み、多少の雨なら弾いてくれる。
だから、水に濡れたとしても、中まで浸水しにくい。
さらに、磨きあげれば艶が増してくる。
ビカビカになるわけではないけれど、このマットな質感がなんとも上品で美しい。
劣化も少ないから、長く楽しむことができる。
ソールは厚みあり、高いクッション性を持つジャンヌソール。
深い溝はゴツゴツした場所も歩くマウンテンブーツならではだけど、ソール自体は軽い。
アウトドアコレクションの中では最も柔らかいソールだ。
コバの部分に注目するとステッチが見える。
これが見た目のデザイン性も高い、このノルウィージャンウェルト製法。
ノルウェー発祥の高度な手法を必要とするもの。
デザイン重視なのかと思いきや、雪原地帯を歩いても水が浸透しないように開発された製法だ。
名前が似ているノルヴェジェーゼ製法と異なり、非常に手が込んでいるのが特徴で、高級シューズの代名詞でもある。
しかも、歩きやすくて丈夫。
ソールの貼り替えもできるから、一生ものにもできる。
パラブーツと言えば、真っ先に思い出すのはシャンボードやミカエルだろう。
このクリュサはどちらかと言えば日本ではマイナーかもしれない。
でも、機能やデザインを見ればこれほどバランスが整った靴はそう多くはない。
パラブーツ初心者にも上級者にも胸を張ってオススメできるのが、このクリュサなのだ。