無骨で丈夫な縫製が味わいタップリ
ネルシャツってなぜか同じような柄や色ばかり集まってしまう。
20年以上も昔、古着屋で見つけて一目ぼれしたネルシャツ。
家に帰ってクローゼットにしまおうとすると、全く同じ柄のシャツが。
このメーカーのネルシャツは一枚も持っていないはず。
クローゼットにある以前買ったネルシャツのメーカー名を調べると確かに違うメーカーのシャツ。
でも、なぜか生地は同じ。
実は、通常であれば生地から色や柄を指定してメーカーオリジナルの生地を作る場合が多い。
ところがCAMCOの生地はその発色やクオリティがあまりにもすばらしいから、他のメーカーがそのまま採用していたというのが真相。
だから、CAMCOのシャツと同じ生地を使った違うメーカーのシャツが多く出回ったのだそう。
僕が経験したのはコレだったという訳。
そもそもCAMCOは1950年代には「SEARS」「JC.PENNEY」や米軍のミルスペック物を手がけていた。
そして、1970年代からは「Ralph Lauren」や「BRENTS」などを生産している。
製品へのこだわりが強いブランドからこぞってオファーを受けるほど、その信頼は厚い。
このネルシャツは「ダブルフェイスフランネル」と呼ばれる表と裏の柄の出方が異なる生地を使用している。
肌触りは優しく、しっかりとした肉感がある。
着込むほどに風合いの増すアメカジ好きにはたまらない質感だ。
もちろん生地だけではない。
柄を斜めに使ったバイヤスポケットや質感の高い皿ボタン。
さりげないけどコダワリのディテールもふんだんに詰まっている。
ファクトリーブランドであるから、価格設定はその質からすると各段に安い。
アメリカブランドらしく、縫製は繊細で丁寧という言葉は当てはまらない。
それは、無骨で丈夫。
だからこそ、何年も何年も楽しむことができる。
表面だけでなく、イイものを見極める人にピッタリのネルシャツだ。