本国で長年愛される履きやすくて使いやすい万能シューズ
Parabootが商標登録されたのは1927年。
フランス・ヴォアロン地方の靴職人レミーが滞在先のアメリカで入手した1足のラバーで覆われたブーツを手にします。
そのブーツとともにフランスへ帰国したレミーが、ブラジルのパラ(PARA)港から直輸入されていた天然ラテックスを底材に使用した靴を思いついたのです。
そして生まれたのが「Paraboot(パラブーツ)」。
Parabootは、ただのファッションアイテムではありません。
ワークシューズとして消防士や軍人に支持されてきたフランスシューズ。
なんと、北極探検家のポール・エミール・ヴィクトール氏ら冒険家たちにも愛されるほど。
僕が初めて手にしたパラブーツはMICHAEL(ミカエル)と並ぶアイコン的モデルであるCHAMBORD(シャンボード)でした。
20歳の成人式でシャンボードを履きたいと決意した僕。でも、当時からシャンボードはそう簡単に買える靴ではなかったので数ヶ月前から洋服を買うのを我慢してお金を貯めて、ようやく購入したのを今でも覚えています。
一生に一度の式典で足元を彩ってくれた思い入れのある一足です。
”フランスの宝石”と呼ばれるリスレザーとノルウェイジャン・ウェルト製法で作られる堅牢なシューズはとにかく丈夫で履きやすい。
雨の日に履いても水が染み込んでくることもないし、冬の滑りやすい路面状況でも自社生産のラバーソールは硬化しにくい。
特にメンズモデルに使用されているPARA-TEXソールは自分が今まで履いてきた革靴の中で一番滑りにくいのではないかと思っています。
ドレスシューズのような華やかさまでは必要ないけど、スニーカーよりはちょっとフォーマルに合わせたいなという日には自然と手にとってしまいます。
あれから8年ほど経った今でもパラブーツは季節問わず頼れる、僕にとって相棒のような靴なのです。
フランス本国では長年愛され続ける『THIER(ティエール)』。
誕生は1960年代と半世紀以上の歴史がありますが、日本ではシャンボードとミカエルの二大巨頭がいることもあってか取り扱いが少ないモデル。
一番の特徴は履き口とタン部分にクッションが入っていること。
これによって足首周りや甲部分が当たったり、擦れたりしても痛みを感じることなくストレスフリー。
シャンボードは馴染むまで履き口が足首周りに当たって靴擦れをしたこともあったけど、これはそれが起こりにくい。
履き始めから快適なパラブーツライフが送れます。
もう一つの特徴はインソールに使用されている厚みのある「ROCADE SOLE(ロケイドソール)」。
このソールはスニーカーやコンフォートシューズでも使用されるクッション性と屈曲性に優れる素材。
この厚みがたまらなく良いんです。
革靴はスニーカーと比べるとクッション性や返りが劣るために長時間着用すると足が疲れてきてしまう。
でも、ティエールは靴全体が足をしっかりホールドしてくれて、かつクッションが厚いおかげで足にかかる衝撃を吸収して分散してくれる。
だから、長時間履いた後の足も疲れも感じず、革靴を履いているのにまるで本当にスニーカーやコンフォートシューズを履いているかのように錯覚してしまうほど楽チン。
たくさん歩く旅行のお供に連れて行っても安心。
さらに、履き込んで革とインソールが自分の足型に馴染んでいったらもう手放せない一足になっていそうです。
堅牢な雰囲気を感じさせるモカシン縫いのUチップはシャンボードに近い顔立ち。
どことなくティンバーランドの3アイレットのようなアメリカンワークなモカシンシューズの風貌を覗かせながらも、全体として見るとコンチネンタルなテイストに落ち着いているのはさすがパラブーツ。
デニムやチノパンなどのシンプルなコーディネートに合わせると、無骨さの中にも上品さがプラスされてスタイルがグッと引き締まるし、ボタンダウンシャツやスラックス、ジャケットなどのドレスカジュアルなスタイルの足元に持ってきても品よくまとまります。
女性ならパンツスタイルだけでなく、スカートやワンピーススタイルに合わせてみてもガーリーな雰囲気から少し大人なコーディネートにアップデートしそうです。
昨今の社会情勢の影響で大定番のシャンボードやミカエルはもはや気軽に手を出せるものではなくなってきています。
だからというわけではありませんが、こういった一足にも目を向けてみてはいかがでしょう。
本国で長年愛され続けてきた理由が感じ取れるはずです。