男くささの中に宿る機能美
2023年、MOONLOIDは10周年を迎えました。
10周年という節目に相応しい一足をTOKYO SANDALで特別に製作していただくことができました。
本来のエンジニアスリッポンのアッパーに使われているのはカウハイドレザー。
しかし、今回の別注はホースバットレザーの茶芯で”和”を感じる墨黒。
まず茶芯のサンダル自体、とても珍しいと思います。
その上でさらに茶芯でありそうでない色と考えた時に思い浮かんだのが、この墨黒。
黒なのか、チャコールなのか一言で言い表すのが難しいけど、なぜか惹かれる絶妙な色。
履き込んだ時のレザーの表情や茶芯とのコントラストを想像した時、絶対かっこいいだろうなと。
別注案に頭を悩ませていた際にデザイナー徳永氏から提案を受け、その場に居たMOONLOIDスタッフ含めた全員が満場一致で「それだ!」と意見が一致したほどに魅力的なカラーなのです。
エンジニアブーツをサンダルに落とし込んだデザインは、暑い夏のガレージでの作業をイメージしています。
エンジニアブーツと聞くと、無骨で男くさいイメージが先行すると思います。
でもこのサンダルからは男くささと上品さをミックスさせたような唯一無二の雰囲気を感じます。
例えばオイルくさいガレージでワークブーツのように履くのはもちろんかっこいい。
でも、京都・嵐山の竹林の小径のようなイメージとは正反対の場所で履いていても、それが日本の伝統的な履き物であったかのように趣深く馴染んでくれるのです。
この無骨なアイテムをモダンに昇華させながら、日本特有の美意識である「侘び寂び」をも感じさせてくれるのはTOKYO SANDALにしかできない芸当だと思っています。
TOKYO SANDALの一番の特徴は人間工学、足病医療の視点から追求した天板の形状にあります。
この3次元に整形された形状は足骨格を安定させ、快適な歩行をサポートし、色々な足の痛みを軽減させます。
アーチは日本人の足型に合うような形を独自に追求し、土踏まず部分に優しく寄り添ってくれる盛り上がりなので履き始めから足馴染みが良く、最良の履き心地を与えてくれます。
そしてこの複雑な形状は2枚のベンズ(厚い牛革)のみで整形されています。
これは木工加工でいう成形合板の製法であり、スケートボードの作り方をリスペクトしています。
TOKYO SANDALはこの製法を革に応用し、適度な屈曲と”しなり"を実現させ、歩行道具として最高のパフォーマンスを生み出しています。
加えてブーツメイドにステッチダウンされたサンダルなので、ガシガシタフに履けて、かつオールソールも容易。
レザーフットベッドには独自のエンボス加工が施されているため、不快なムレやベタ付きも軽減されます。
この唯一無二なプロダクトはグッドデザイン賞において「装身具・身に付けるもの部門」を受賞したほどに高い評価を受けています。
さらに、今回の別注ポイントはレザーだけじゃないんです!
バックルとピンがMOONLOIDコンセプトカラーであるシルバー&ゴールドのコンビネーションになっており、よりスペシャル感を演出しています。
既存にないパーツをわざわざ作らなくてはならないので、小さな部分だけど実はめちゃくちゃ手間がかかります。
10周年の節目の年ということもあって、かなり無理を言ってお願いしたのですが、快く引き受けてくださいました。
墨黒のホースバットレザーとの相性もピッタリの仕上がりで感無量です。
MOONLOIDだけの特別なエンジニアスリッポンを末長くご愛用ください。