見過ごされている古着から新しい価値を生み出す
かつて、セレクトショップ「REDWOOD」でアメリカンスポーツウェア、ワークウェアをいち早くファッションとして提案したNEPENTHES(ネペンテス)の代表兼デザイナーの清水慶三氏によって、1995年に誕生した「NEEDLES(ニードルズ)」。
なかでもRebuild By Needles(リビルドバイニードルズ)は2010年にスタートしたNEEDLESのコレクションライン。
日本でもアメリカでさえも見過ごされて、大量に残っているような古着を使って、新たな価値を持った服を作ることをコンセプトにただのリメイクではなく、プロフェッショナルなミシンや技術を使い、アトリエ的なリメイクの手法とは違った、量産できる服を作り続けている。
それは斬新、かつ独創的。
たとえば、古着の米軍M-51オーバーパンツ。
今でこそ、あの極太ワイドなシルエットは”アリ”とされているが、一昔前なら太過ぎて”ナシ”と言われ、見向きもされなかった。
普通これに手を加えるならパンツとして現代的なシルエットに即した形でリサイズしたり、刺繍やワッペンをつけたりすると思うが、それはただのリメイクに過ぎない。
清水氏の手にかかれば、これがなんとコートやジャケットとして生まれ変わる。
こうした洋服作りが「Rebuild=再構築する」という言葉をより確かなものにしている。
「解体と再構築」をテーマに掲げるブランドは数多いが、Rebuild By Needlesはその先駆者であり、唯一無二の存在だ。
コレクション定番アイテムのひとつが古着のプリントネルシャツを解体して作られたリボンシャツ。
様々なチェック柄で構成されたリボンテープは本来ドレスシャツに用いられる。
ドレスライクなディティールをアメリカンワーカーの日常着であるネルシャツに組み込み、さらにそこからオーバーダイ加工を施すことで華やかさと落ち着きをデザインへと昇華させている。
リボンテープは全て異なるプリントネルシャツの生地を何枚も組み合わせているため、着込んでいくとテロッとしたヤレ感が強くなっていく。
古着を使用しながら、細かい配色やシルエットにもこだわったステッチワークは非常に繊細。
まさにプロフェッショナル!
染めを施していないものと比べてシックで大人っぽい印象のシャツはNEEDLESの秋冬定番のモヘアカーディガンやベロアのトラックパンツと合わせて、少し色気のある雰囲気を出すのが個人的におすすめ。
もちろん足元はレザーシューズで。
そして古着を使用しているからこそ、ひとつとして同じものがない一点モノ。
同じサイズでも丈がまちまちなことがあるが、それはもとのシャツのレングスを生かしているため。
この必然的に起きてしまう違いも含めてデザインになっているから、無駄な部分が一切ない。
古着への深い理解と愛情が詰まった既製服にはない魅力をぜひ感じてみてほしい。
NEEDLESの世界観の虜になるのに、そう時間はかからないだろう。