こだわり強く、コスパ良く
caqu(サキュウ)は2006年に日本でスタートしたブランド。
もともと世界的ブランドの企画や生産を請け負っていたタンデムがその知識と実績をもとに立ち上げた。
サキュウは一般的なブランドとは仕組みが全く違う。
普通、ものづくりは分業で行われることが多い。
デザイナーがデザインしたものをパタンナーが型紙に起こす。
そしてパターンをもとに工場で縫製方法を組み立て、ミシンで仕立てる。
ところがサキュウの場合はデザイナー自らパターンを起こし縫製方法を決めている。
だから、製品に矛盾や余計なものがなく、理想形がそのまま製品に反映されている。
もう1つが価格設定。
生地や縫製、加工工場も直接取引しているから中間マージンも入らない。
過剰な広告やブランディングもしていないから、同じクオリティのものを他社ブランドと比べるとコスパが良い。
そんなサキュウのコンセプトは「極上の白ご飯」。
美味しいご飯は毎日食べても飽きず、おかずの質をググっと高めてくれる。
サキュウのデニムパンツも同じ。
どんなアイテムとも相性が良く、こだわりの品質でコーデの底上げをしてくれる。
不器用ともいえるほど実直に仕立てられたデニムパンツだからこそ、サキュウはスタイリストやモデルからの評価が特に高い。
さらに、コットンの産地である西アフリカ・ブルキナファソに小学校を作るなどSDGsに対する取り組みも2010年から継続している。
このモダンペンシルは鉛筆のように細いビンテージストレート。
使用した生地はアメリカコットンを使用した12ozのセルビッチ(赤耳)デニム。
ワンウォッシュなのにリジットデニムのような毛羽立ちが少ないパリっとした生地感。
洗濯しても毛羽立ちにくく、退色もしにくいから新品の表情を長くキープすることができる。
見た目はまるでビンテージのように本格派なのに、実はストレッチデニムだからストレスもなし。
見た目も穿き心地も、全方向に抜かりないバランスの良い生地だ。
裾幅15.5cmと鉛筆のように細いストレートシルエット。
股上は深め、バックポケットは大きめ。
日本人の体型に合わせて、穿いたときに美しく見える様に計算されている。
もちろん、ストレッチのおかげで窮屈さも感じない。
次のポイントはサイドの縫い目。
よく見ると通常よりも後ろ寄りになっている。
実はこれ、サキュウのコンパクトヒップという仕様。
これにより視覚的効果が働き、とにかくお尻が小さく見えるというすぐれものだ。
縫製に使っている糸はコットン糸。
近年では強度のあり縫いやすいポリエステル糸を使うことが多い。
これにより生産性は上がったのだが、問題は経年変化。
デニム地はコットンでできているから穿いていくうちに色落ちしていく。
この色落ちが味となり立体感を生みだすのだが、ポリエステル糸はほとんど色落ちしない。
その結果、糸だけ浮いてしまい不自然な仕上がりになってしまう。
ところがコットン糸であれば、生地と馴染みながら味わいを増していく。
だから穿き込んだ後も自然な表情を保っているのだ。
さらに、縫製や加工を行っているのは1960年代初頭に日本で初めてジーンズを縫製したと言われる渡辺縫製がルーツの宮城県の工場。
熟練の職人が仕立てるデニムパンツは、もはや作品だ。
実際に穿いてみるとスリムデニムパンツには珍しい深めの股上がすごく良い。
タックインもしやすく、バランスも取りやすい。
見た目は本格派なのに実はストレッチが効いているから穿き心地も最高だ。
ハッとするのは鏡で後ろ姿を見たとき。
コンパクトヒップの仕様のおかげで、華奢に見えるし太もものハリもいつもより少なく見えた。
この後ろ姿は、ちょっと嬉しい誤算。
サラリとした生地は真夏でも厚過ぎず、真冬でも薄過ぎないからオールシーズン楽しめる。
セルビッチデニムだから裾をロールアップしてもカワイイ。
腰のシンチバック(尾錠)で調整もできる。
特に目立ったアイコンやデザインはない。
隅々までこだわりつくされたスーパーベーシック。
まさに極上の白ご飯の様にコーデの格上げをしてくれる。
カジュアルだけど女性らしい1本だ。