美しさと、工業製品の様な実用性と
FAUVES(フォーブ)はOlde Homesteader(オールドホームステッダー)を手掛ける福原氏が手掛けたレーベル。
ブランド名の由来はフランスで生まれた20世紀初頭の絵画運動「Fauvisme(フォーヴィスム)」。
工業製品であり、マストプロダクトであったアメリカンウェアに対する価値観を編集し、日常着を通してモダンを提案している。
MOONLOID(ムーンロイド)では、オールドホームステッダーを通じで福原氏の服に向き合ってきた。
商売として成り立つように、理想の完成形から色々なものをそぎ落として"商品"を作るというブランドも少なくない。
そんな中、福原氏の服には製品に対する一切の妥協がない。
製品のためには価格も納期もトレンドも関係ないのだ。
商売であることを全く気にしていないかのごとく、針を通すような細やかさと常識を覆す大胆な思考でプロダクトを生み出していく。
今回、福原氏が一から見つめ直したのが若い頃に受けた2000年前後の洋服文化の影響。
そして、以降の仕事としての服との関わり。
それらは単に過去のものではなく、氏を構成する核となっている。
過去に体験した服との強い関わりを改めて振り返り、その時の自分を肯定しこれからの服作りに向かう。
そうしてプロダクトに込められたのは、ノスタルジックとモダンだ。
工業製品でありながら、人の手や息遣いを感じられるような製品。
アメリカンマスプロダクトにおける40年代以前の繊細な表現でも、80年代以降の荒々しい表現でもない。
その間のミシン設備や行程を踏まえ、時間をかけながら丁寧に表現している。
このRANCH (ランチパンツ)はいわゆるウエスタンパンツ。
使用した生地はコットンサテン。
見た目は上品だけど、丈夫な生地だからデニムパンツの様にラフに扱っても良い。
程よい厚さだから、季節を問わずに穿くことができる。
穿きこむごとに味わいを増していく、育てるのが楽しみな生地だ。
最大の特徴は、艶。
動くたびに細やかな光のドレープが揺れ動く。
そこには福原氏のこだわりが垣間見える。
ディテールもヴィンテージに精通する福原氏らしさが散りばめられている。
ベルトループはランチパンツらしく、7本で太め。
カウボーイたちの激しい動きでもしっかりベルトがフィットする様にデザインされている。
フロントボタンと、バックポケットのフラップに配置したボタンはどちらも同じ大理石の様なマーブル模様。
当時の雰囲気タップリだ。
フロントはジッパーフライ。
ブランドロゴが刻印されたオリジナルのジップを使用している。
フロントポケットは丁寧に曲線が描かれている。
バックポケットは片玉縁のフラップ付。
美しさと、工業製品の様な実用性を兼ね備えた全く新しいプロダクト。
福原氏が満を持して生み出したこのパンツは、シンプルだけど価値観を変える1本になりそう。