レッドウィングを代表するトラディショナルなブーツ
レッドウィングを代表するアイテムといえば、アイリッシュセッターやベックマン、アイアンレンジャーとあるが、このペコスブーツも間違いなく同ブランドを代表するアイテムのひとつである。
ペコスブーツはレッドウィングが開発したウエスタンブーツタイプのワークブーツ。
レッドウィング社はかつてテキサスに拠点を持ち、1930年代には実際にウエスタンブーツも販売していた。
それにレッドウィングが得意とする機能本位のワークブーツのデザイン手法を用いて、シンプルかつ頑丈でさまざまなワークに使えるブーツとして誕生したという背景がある。
僕自身、最初に手にしたレッドウィングは90年代の通称「半円犬タグ」と言われる、最も赤茶だった頃の875だが、二足目に買うならペコスだなと密かに思っていた。
でも突如、日本市場での取り扱いがなくなってしまったため、欲しくても買えないブーツになってしまった。
これを見てくれている人にも僕と同じような思いをした人は多かったのではないだろうか。
今回ワークブーツ市場で現在も販売されている♯1155を日本でも取り扱うこととなった。
待望のペコスブーツ復活である。
日本では9インチのクレープソールタイプのものが主流だっただけに、この11インチで高めのヒール、ウエスタンブーツらしい尖ったトゥにあまり馴染みのない人も多いことだろう。
しかし、アメリカ本国ではファーマーや製油所で働くワーカーの足場は泥や埃だらけの場所が多いため、靴の中に入ってこないようにするためにはこのハイトやデザインがむしろ必要であり、ポピュラーなのだ。
ちなみに高めのライディング・ヒールは乗馬時に鎧に足を引っ掛けやすくするためのディティールだ。
無駄のないシャープなフォルムとつま先にたっぷりとオイルを含んだブラウン・ブーマーのレザーは、このブーツにワークブーツらしいタフさとクラシカルな雰囲気を与えている。
アウトソールには1960年代から現在に至るまでペコスブーツに使われているオリジナルソール「ケミガム・コルクソール」を採用。
コルクを混ぜ込んだ耐久性の高いラバーソールはグリップ力も申し分ない。
インソールにはスーパーソールでお馴染みのクッション性の高いポロンを採用し、快適性も確保している。
ラストは72番。
11インチハイトのこのブーツにしか使われていないラストは9インチハイトの17番ラストと比較しても、より細身な印象。
ウエスタンブーツよりも装飾が少なく、シンプルなデザインはアメカジテイストなスタイルだけでなく、幅広いスタイルに好相性だ。
古き良き時代のアメリカを感じることができる、トラディショナルなブーツである。