アウターの簡易版とは違う、本気のダウンカーディガン
僕たちがいる北海道は、真夏を除くおよそ10ヶ月はダウンウェアを着る環境にあります。
だから、僕たちにとってダウンウェアは春先とお盆を過ぎた8月下旬頃からはアウターとして、冬にはコートの下のインナーとして、真夏以外の季節で着ることができる最高の衣服なんです。
ダウンウェアの素晴らしさを1人でも多くの方に身近に感じて欲しい!
そんな思いから誕生したダウンカーディガン。
ダウンカーディガンは、フードや襟が無いから、中にシャツやフード付きのインナーの上から着ても干渉しません。
飛行機の機内や車や電車移動時の体温調整にも最適で、シートにもたれ掛かっても干渉するものが無いからラク。
インナーとしてもアウターとしても、一度手にしたら手放せなくなる。
現在ではダウンカーディガンはアウトドアメーカーからファッションブランドまで、多種多様にリリースされています。
ではその数ある商品たちと、このダウンカーディガンは何が違うのか。
それは、ダウンのクオリティと日常に寄り添った機能性、品質に対する値段のバランスです。
一般的には600FP以上が高級な羽毛と言われている中、使用している羽毛はなんと940FP。
この940FPの羽毛は老舗シュラフメーカーであるNANGAの数あるシュラフやダウンウェアの中でも一切使用されていません。
NANGA WHITE LABELのダウンのみにしか使用されない今現在考えうる最高の羽毛なのです。
しかも、ただ940FPという訳ではありません。ハンガリー産のシルバーグースダウンに超撥水加工を施しているのです。
超撥水加工を施したダウンはUDD(ウルトラドライダウン)と呼ばれる特別なもの。
水に濡れると嵩が減り、せっかくの保温効果が減少してしまうというダウンの唯一ともいえる弱点を克服した超機能ダウンです。
充填量は52g。
羽毛の質と充填量だけでみればライトアウターに近いです。
ダウンカーディガンは、どちらかというとコストも価格も抑えてリーズナブルなダウンウェアとして売り出されることが多い。
優先されるのがコストだから、これほどの量と質のものはほとんどありません。
でもそれが、包まれる様な暖かさと軽さを実現しているんです。
決して安いものではないけど、この違いは価格差以上だと感じています。
ナンガでは定番の防水透湿素材「オーロラテックス」の中でも最新の「オーロラテックスライト ストレッチ」を採用。
オーロラテックスよりも高い防水・透湿性を持ちながら、その薄さが半分以下の20D。
とにかく軽く、柔らかいから羽毛に直接包まれている様な着心地に。
加えてトリプルリップストップ構造で引き裂き強度もアップ。
しかも、ストレッチ性まで加わって動きやすさも格段にアップ。
質感もマットなものに仕上がりました。
ダウンカーディガンをインナーとしてだけ考えるなら、防水・透湿素材の必要はありません。
僕たちも始めはそう考え、撥水生地を使用していました。
ところが、実際はアウターとして着られていることが想像以上に多く、それは僕らスタッフも同じでした。
アウターとして考えるのであれば、雨の日も雪の日も気にせずに着たい。
せっかくだから、中の羽毛の機能を最大限に楽しんでもらいたい。
そんな理由から最強ダウンジャケットと同じ表地を使用しています。
裏地には20デニールのDWR(耐久性撥水)加工を施したリサイクルナイロンと30デニールの静電気防止素材をミックスした生地を使用しています。
裏地なのにわざわざDWR加工を施しているのは、汚れを付きにくく、また付いた場合もふき取りやすくするため。
薄手のナイロンを使用しているのは、身体から放出された熱を素早くダウンウェアに取り込むため。
昨年までは静電気防止素材が使用されていたのは腰のメッシュポケット部分のみでしたが、今回のアップデートにより、さらに静電気が起きにくくなっています。
空気が乾燥したり、ウール素材のものを着たりする秋冬の時期はどうしても静電気に悩まされがちですが、これなら安心・快適です。
細かいけれど肩のパターン(設計)にも大きな秘密が。
製品の構造上どうしても肩の頂点で生地をつなぎ合わせる必要があります。
でもその肩はダウンジャケットを着ているときに最も雨や雪の影響を受け、リュックやショルダーバッグを背負ったときに最もストレスがかかるところ。
もし肩の頂点につなぎ目が無く、羽毛による空気層を作ることができたら、より暖かく快適な着心地が生まれるのではないだろうか。
もちろん、ただつなぎ目を無くすだけではダメ。
よりスムーズな動きと快適な着心地、美しいシルエットを保っていなければ意味がありません。
何度も何度もサンプルを作りはパターン修正を繰り返すこと2年…。
ついに門外不出の独自のシームレスパターンが完成したのです。
そして、クルーネックにもVネックにもなる2WAYの首回り。
ネックを選べるから中に着るものも、上に着るものもどんなデザインのものでもよく似合う。
シンプルなデザインのままスナップボタンで簡単に変えることができます。
ナナメに配置した胸ポケットはリュックなどのストラップに干渉しない様、下から上に開く仕様。
この胸ポケットに使用したジッパーはもちろん止水ジッパー。
内部のものを雨や雪から守ってくれます。
引き手もプレートにすることで、より高級感のある仕上がりに。
ハンドウォーマーとしても使えるサイドのポケットも、コンシールジップで目立たない様にしました。
2024年シーズンのカラーコンセプトは『北海道の美しい風景』。
僕たちが北海道という広大な土地で生活する中で美しいと感じた景色や瞬間を色にしました。
自然界に同じ色は存在しません。
太陽の光の下、グレー色の雲に覆われた夕暮れの下、その日、その場所の環境において表情を変える森羅万象の色を表現しました。
それは北海道に暮らす僕たちにしか表現出来ない、暮らしにまみれた色なのです。
自然界に単一の色が存在しないことから、環境下で表情を変える何色とも表現しがたい色を作るため、オリジナルレシピの生地を一から作り上げました。
ダウンウェアのラインナップの1つとして組み込むのではなく、「どうしたら最高のダウンカーディガンを提案できるか」という視点で構築しました。
これが、何より僕たち自身が欲しかったダウンカーディガンです。