パジャマだけど、ただのパジャマじゃない
90年代に一大ムーブメントを巻き起こした古着。ただそれはあくまでリーバイスなどの”アメリカンヴィンテージ”が中心だった。
ミリタリーもアメリカ軍を中心に人気が高かったけど、ユーロミリタリーなんて蚊帳の外。
ようやくスポットが当たるようになったのは結構最近で、ここ10年くらい。
アメリカ軍は今も昔も多額の国家予算を投じてその時代の最新技術を駆使し、アメリカらしい無骨で機能的な物を作っている。
古着好きであれば、一度は触れたことはあるだろう。
一方でユーロミリタリーは、まるでテーラリングで作られたのか?と思わせるほどに技術の高い縫製と軍服なのに洗練されていてお洒落な雰囲気を感じさせてくれるのが大きな魅力。
アメリカンミリタリーもめっちゃくちゃかっこいいのだけど、どちらかというと今の時代のファッションにも合わせやすくて馴染みやすいのがユーロミリタリー。
ということで、今回は珍しくヴィンテージのユーロミリタリーをセレクト。
MOONLOIDでセレクトしている洋服たちとも相性抜群なので、ぜひご覧いただきたい。
紹介するのは1940年代の第二次世界大戦中にフランス軍の病院(HOSPITAL MILITAIRE)で使われていたパジャマ。
フランス軍のホスピタルのものであることを証明する「H.M.」のステンシルが見られる。
フランス軍といえば、98年秋冬にマルタン・マルジェラがアーティザナルラインで裏返して、ポケットを切り込みで入れたコレクションを発表したことでも知られるM-47カーゴパンツが有名。
つまり、あのマルジェラが自身のオートクチュールのコレクションで使ったくらいにフランス軍の縫製技術は高いということ。
これは戦闘服ではないけど、作り込みは非常に丁寧で戦時中の物資統制化の時代にあっても質の高い物を作っていたことをうかがい知ることができる。
ディティールは台襟のないオープンカラータイプのシャツ。襟が結構小ぶりになっていて着やすい。
フロントに付けられている4つのボタンは大きめで着脱のしやすさも考えられた仕様。
ポケットは左胸と腰部分に左右一つずつと三箇所全てパッチポケットとなっている。
ボックスシルエットでアームも太めなので、今っぽくゆったり着るにはちょうどいい。
使用生地は柔らかく起毛したコットンフランネル。
起毛していると言っても、それほどでもないので通年着用は可能。
パジャマとして使われていただけあって、ストレスフリーで気持ちの良い着心地が特徴。
着用して洗いを重ねていくにつれて更に生地も柔らかくなり、さらに風合いも増してゆく。
また、生地はプリントではなくストライプ柄に織り込まれた物でポケット部分もしっかり柄合わせがされている。
何度も言うが、フランス軍の縫製技術の高さがあらわれているディティールだ。
パジャマとして使うには少々勿体無いけど、夏の暑い夜にこれを着てまったり過ごすというのは贅沢で憧れる過ごし方だなと思う。
もちろん街着としても大いに活躍してくれる。
普段の服装にジャケットのように合わせるだけで一気にフレンチを感じられるスタイルに。
そして、今回のものはなんと全て”デッドストック”
デッドストックとは誰にも使用されることなく、そのまま当時の状態で眠っていた未使用品のこと。
ヴィンテージ古着においてはそれだけで価値がある代物。
80年程前の物が未使用のまま現代に残っていて、それを一から自分が着れるのってよく考えるとめちゃくちゃすごい。
カラーはブルーベースとキナリベースの二種類。
サイズ表記は100と110。
レディース、もしくはメンズでS~M相当。
ミリタリー物において、小さいサイズはかなり希少。
パンツは比較的見かけることはあるが、ジャケットは滅多に市場に出回らないアイテム。
古着好きな人はもちろん、普段古着を着ない人にも是非着てもらいたい。