ホースハイドのオールレザーを纏った1960年代のロックスター
それに憧れた民衆のために、ロッキーマウンテンフェザーベッドがベストとジャケットを作っていたら…
歴史上実在していないものの、存在したであろうモノ、または未だに存在が未確認のモノ、そんなタイムトラベル中に偶然発見したお宝をコンセプトに「もし、1960年代に本物のカウボーイウェアを求めたロックスターがロッキーマウンテンフェザーベッドの噂を嗅ぎつけ出会っていたら」という想像のもと、そこでオーダーされたのはスペシャルなホースハイドを用いたオールレザーのベストとジャケットだったのではないか。
1960年代当時、すでに高級品であった馬革。
首元にはムートン、中綿にはたっぷりとダウンが入ったレザーベストとジャケット。
その見た目と確かな防寒性から、ファッションアイテムとしてロックスターにも愛された。
そんな史実に基づく想像が織りなすストーリーを背景に制作した前作のホースハイドを使用したオールレザーのベストとジャケット。
今回の別注は、その続編。
「もし、ホースハイドのオールレザーを身に纏ったロックスターに憧れた当時の民衆に向け、ロッキーマウンテンフェザーベッドがベストとジャケットを作ったら、それはきっとこんな感じだったのではないか」。
時は遡り1960年代、ロックスターがロッキーマウンテンフェザーベッドに特別にオーダーしたアイテムの情報は瞬く間にアメリカ全土に広がっていった。
話題が話題を呼び、民衆の羨望の的を集めたソレを目掛けてロッキーマウンテンフェザーベッドへ問い合わせが殺到。
だが、ナイロンとレザーのコンビウェアが基本のロッキーマウンテンフェザーベッド。
ホースハイドのオールレザーはロックスターのスペシャルな特注品であったため、全く同じモノは販売するわけには行かなかった。
しかし、それでも諦めきれない民衆からの止まらない問い合わせ。
創業者のカブ・シェーファー氏は考えた。
「オールレザーに使われた意匠を残しながらも、多くの人たちに喜んでもらえるウェアを作ろう」と。
こうして当時販売されたであろう、ナイロンとレザーコンビのダウンベストとジャケット。
そんな想像から誕生したのが本作だ。
使用した革はオールレザーと同様、革本来の自然な表情に仕上げた茶芯のホースハイド。
表面にあえてフィニッシュを施さないことで、着込むほどに生まれる自然な艶や皺。
エイジングはまるでヴィンテージのよう。
鞣しは脱クロムフルタンニン。
最初にクロム鞣しを行い、その後に70~80%を抜く。
それからタンニンを20~30%入れて鞣す方法だ。
これにより、強度を保ちながら経年変化も存分にに楽しめる革が出来上がる。
革の厚さはヨークが1.2~1.3mmでボディが0.7~0.8mm。
馬革は原皮の繊維層が均一ではないから、一度厚口に仕上げた後にさらに漉いて調整している。
このこだわりがダウンウェアとして重くなく、革らしい着心地も楽しめる絶妙なバランスを生み出している。
1枚断ちのレザーヨークの端から茶芯が覗いているのもたまらない。
当時の革はファッションとしてのモノよりも、生活の中の副産物としてのモノの意味合いが強かった。
だから、少しムラ感だったり、生活の痕を感じられる風合いが出ていたりするのは極々自然なことなのだ。
襟のムートンも同じくスペシャルな直毛のムートンを採用。
野暮ったさのない、洗練された高級感に当時の民衆は酔いしれたに違いない。
ダウンはヨーロッパ産の撥水ダウンを採用。
クオリティの高さを保つため、その洗浄は日本国内で行っている。
フロントボタンにはラグジュアリーなパールドットボタンを採用。
2つのツメを曲げて留める形状は元々は廃盤になっていたものを特別に再生産している。
内ポケットは通常であればYKKのジッパーが付くが、今回のストーリー性にそぐわないため、これまたオールレザーのものと同じWALDES社のダイヤモンド7連チェーンジッパーを採用。
これは当時のアメリカのレザージャケットのポケットなどに採用されていたもの。
それだけではない。
ボタンの台座のゴールドとシルバーのジッパーを組み合わせはMOONLOIDのテーマカラー、シルバー×ゴールドを落とし込んでいる。
首裏のレザーネームも健在。
ホースハイドを使用している証明として、特別にデザインされたもので当ブランドで初めて採用された。
そしてロッキーマウンテンフェザーベッドの世界一のコレクターであり、デザイナーでもある寺本欣児氏自らが監修した特別なもの。
素材も本体と同じホースハイドを使用しているというこだわりようである。
表地と裏地のナイロンはダウン製品用に特注した70Dのナイロンタフタ。
丈夫でありながら滑りも良く、通気性も良い。
また、一般的なナイロンタフタに用いられるアクリルコーティングではなく、シレー加工を施すことで通気性の確保と防水性を両立させている。
ロックスターだけでなく、銀幕のスターの一挙手一投足やスタイルに憧れを抱いたり、その真似をしてみたりというのは今も昔も変わらない。
ただ、60年代はファッションが一般的に楽しめるようにようやくなってきた時代。
真似をしようにもまだまだ金銭面でのハードルなど、様々な面で苦労があったはず。
このベストとジャケットは憧れのロックスターと全く同じものではない。
でも、手にできた時の喜びはきっとひとしおであったことだろう。
今の時代にはなかなか感じづらくなっている、その喜びの感情を本作を通じて多くの人たちに味わってもらいたい。